カオティックハードコア勢の中でもひときわ異彩を放つThe Blood brothersのメジャー３枚目。
何もかもミキサーに入れて掻き回したような滅茶苦茶サウンド。それでいてなぜか知的、妖美という単語が似合う独特なサウンドは健在。
甲高い声で叫び続けるツインボーカルも相変わらず。
しかし、今まで比べると凶暴さは押さえ気味な気がする。バンド全体でぎゃあぎゃあ騒ぎまくるというより、エキセントリックでちょっと病んだ”雰囲気”が前面に出てる。（彼等にしては）落ち着いた変態どもといったところでしょか。
曲によってはドラマティックとさえ言える展開も見られます。
曲全体の雰囲気を重視にするようになったことで、前作の「Trash Flavored Trash 」や「Rats and Rats and Rats for Candy」などにあった、聴いた瞬間ビビッ！とくるフレーズが少なくなったのは残念。
また、前作ほどダンス傾向があるわけでなく、純粋なロック色が強い。
ボートラのリミックスを抜くと全15曲。
変態な曲調でこれだけ曲数が多いとさすがに疲れてきます。似たような曲も多いし。

�@「ファイヤー！ファイヤー！ファイヤー！」の掛け声でスタート。ミドルテンポの混沌とした曲。
�B先行PVになったダンスロック。今作で一番キャッチー。イントロのオルガンでやられます。体を揺らしたくなるダンサブルな曲。中盤の暴れ具合もカッコイイ！一番気に入った曲です。
�C前半は暴れまわって後半はゆったりと歌い上げます。低音ボーカルの声がエロい。
�D一気に加速するサビがカッコイイ。後半の大仰なコーラスワークは今までになかった曲調。�Hにも似たようなコーラスがあります。なかなか良い。
�Eタムを多用したリズムが面白い。「Vital Beach!Vital Beach!」の掛け声は一緒に叫びたくなる。

悪いアルバムではないけどなんか物足りないなぁ。前作・前々作よりクルものがない。絶賛できる曲は�Bと�Dくらいです。
独特の雰囲気は好きなんだけどちょっとまったりしすぎたか。
コイツらはもっとキャッチーな路線の方が好き。