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00年代初頭、BMS界のトップを走っていたcrankyさんとMorriganさんによるFeline Grooveシリーズ第3弾。
おふたりの路線に大きな変化は無く、crankyさんはノリノリのユーロ/レイヴサウンドを、Morriganさんは低音の利いたドラムンを聴かせてくれます。もちろん恒例のpositiveシリーズやFenlinシリーズの続編も有り。
しかし今回はいつもと比べると癖のある楽曲が多い。
ボリュームも今までに比べると小粒な感じもする。
正統な続編というよりFenline groove外伝といった印象を受けました。
@はcrankyさんによるイントロトラック。といっても3分あります。『U』にあったメロディをバイオリン→エレキギターで奏でた後、チャント要素のある低速ダンストラックへ。期待が高まるアルバムスタート。
そのまま流れるようにcrankyさんによる中速レイヴAがスタート。ずっしりしたリズムに声ネタが飛び交う曲調は今までとは少し違った印象を受けます。1:15からの盛り上げ方は半端無い。中盤からは一旦クラシック調になり、レイヴサウンドにまた戻ってくるお得意の展開。
BはMorriganさんによるドラムン。前半は切り刻まれたドラムに低ーいベースが絡みつく。後半はドラマティックなオーケストレイションに力強いドラムへと展開。非常にクールな曲です。
CはFenlineシリーズの最新作。今回はドラムン要素無し。直球ジャズです。曲としては良いんだけど意外性は無かったかな。
Dはpositiveシリーズ最新作。おなじみのメロディを声ネタで歌わせるという面白い試み。メロディの良さは言わずもがなですが、いつもより大人し目のアレンジでちょっと盛り上がりに欠ける。
Eは声のよく伸びるヴォーカルを招いてのMorriganのドラムン。同じく歌モノドラムンだった『U』の「Nagi = Crescent-Heart 」はK.Junoさんの恐ろしいほどの歌唱力と暴走した展開がインパクト大の名曲でしたが、今回は綺麗にまとまっている正統派ドラムン。「NAGI〜」ほどの衝撃は無いけどジワジワ良さが染み込んでくる。青い光が自然と目に浮びような透明感ある曲です。これはなかなか。
FGはピアノソロ。ちょっと苦手な曲調だな。それでもFは心地良い。
Hはcrankyさんによる…コレはなんて言えばいいんだろう?フランス映画のBGMに使われていそうな穏やかな曲。明るい「La fuite des jours」。
IはMorriganさん独特のキラキラした音色とスカスカの音構成のハピコア。サンプリングCDから持ってきたと思われるボーカルラインが素晴らしい。今作で一番気に入った曲です。
JBOFにcrankyさんが変名義で出場した曲「F」。自分は大会時にcrankyさんと気付かずに唯一低い点数でインプレしてしまいました……。あらためて聴くとモロにcrankyさんだ。それでもいつものユーロよりインパクト不足な気がする。曲調はユーロ+クラシック。いつもよりクラシック要素が強い。
締めのKはMorriganさんのゆったりとした曲。ちょっと印象に残りにくい。
久しぶりのFeline Grooveで期待しすぎたこともあると思いますが、不完全燃焼な感じがするのは否めない。手放しに絶賛できるのはAEIくらい。
シリーズである事を強く意識しており、ファンならオッと思わせる要素が満載であると同時にいままでの曲の二番煎じという印象が強い。いつもと比べると元気が無いような気がします。
とにかく変化球が多く、普段とはちょっと毛色の違うアルバムです。
従来のファンなら買いか……と言われるとすぐには首を縦に振れないなぁ。人を選ぶと思う。
二人の音世界を初体験する人の場合ですが、個人的に他のアルバムから入った方が衝撃がデカイ気がする。といってもコレ以外は販売停止なんですが…。
クオリティの高さは確かなんで、変に先入観の無い人なら満足できるかもしれません。特にWAVEでのMorriganさんしか知らない人は氏にはこういう一面もあることを知っておいても良いと思う。
今回のレビューは過去作に捕われすぎたかもしれん。
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