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サークル The Spring Beach Works.
元ネタ オリジナル

モノクロ』に続くThe Spring Beach Works.(春濱)の5枚目。6曲入りミニアルバム。

春濱節は健在ながら今作はとても”ポップス”してる。いや、前からポップスではあったんですが、今までのどこか浮世離れしてた気配が薄れ、聴き手のそばへとグッと近寄ってきた印象です。
春濱のレビューでは毎回同じことを書いてますが、音/歌がどんどんと安定してきて普遍的なポップス要素が強くなってる。それが今作で一つの到達地点まできたのではないかと思います。
ポップスをベースに、今まで通ってきたデジタルなドラムン要素、人肌を感じるフォーク要素、そして独自の明治/昭和な和の要素、そして根本に巣食う奇天烈な隠し味を残した集大成ともいえる一作です。

6曲がかっちりとCDに収まってて、今作だけを聴くと春濱を「個性派サークル」と思う人は少ないと思います。それはなにより曲/サンドパフォーマンスに普遍的な魅力が整理されて詰まっているからです。
良い意味での加工食品。外装から、素材、調理方法まで整然としてパックされている。しかし「チキングラタン風ヌードル」ばりの奇抜なアイディアも忘れないので一筋縄ではいかない。よく出来た一作です。

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@一作目の『たまてばこ』を思い出すドラムン要素の入った歌モノ。音質/安定感は当時からグンと上がってる。エフェクトをかけたNinaさんの声が良い意味で耳を刺激して気持ちいい。キャッチーではないけどだんだんと癖になるメロディです。2:03の高音はすげぇ。

Aバラード。「2曲目にバラードとは早いな?」と驚いた。で、曲やメロディはもとよりエモーショナルなNinaさんの歌が泣けるほど素晴らしい超良曲!
ほんのりデジタル要素など聴きどころはたくさんあるけど、まずは美しいストリングスとボーカルにノックダウンされます。切ないフレーズとか理論的なモノでなく、この曲が保有するオーラが沁みる。安易なバラードとは一線を画す魅力があります。「君は美しい、素顔がとても美しいのだ」のくだりは何度聴いても震える。今作ではこの曲が一番好き!

B和風フォーク。日本人の暗い側面がそのまま音になったような曲。悲壮感ありすぎなメロが個人的に苦手かな〜。日本人って暗いね。

C日本人好みのメロが琴線を弾きまくるキャッチーな曲。Bメロからサビへの流れはヤバイです。即シングルカットできそうな出来。
ちょこっと跳ねたアップテンポのリズムで春濱では異質。でもぴったりとCDの流れに収まってます。春濱流ポップソング。
子音も母音も踊るように響くサビの虜。やはり詩に対する感覚がずば抜けるなぁ。この曲もむちゃくちゃお気に入り。

Dスウィングなブギ。軽快なノリでとても聴きやすい。「無視」と書いて「シカト」と読む歌詞は面白い。こういう曲だとNinaさんの詩のリズム感が浮き出てきます。ラストサビの熱い歌い方がグッとくる。ベースが引っ張っていくエンディングも良い感じ。

E最後はロック・バラード。悪い曲ではないけどAの影に隠れてしまうか……。

--- とても完成度の高いミニアルバム。
フォーク要素が薄まって、デジタル色が帰ってきた。今までの春濱の歴史が圧縮されている。
面白いし、聴きやすい。すごく良いバランスの「歌モノ」です。

とにかくキラーチューンACの破壊力が半端無い。最近多方面で活躍しはじめたNinaさんが気になっているなら必聴。

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