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Trick x Logic Season1&2
メーカー SCE(開発:チュンソフト 機種 PSP
ジャンル ミステリノベル 発売日 2010/07/22
TRICK×LOGIC Season1

[ゲームレビュー]Trick x Logic Season1&2 PSPの推理ノベルゲーム。

単純な選択式ノベルゲームでも、総当りのADVでも無く、推理小説を読みながら文中のキーワードを組み合わて謎を解いていく独特のゲームシステム。
(例:窓が開いている+侵入経路はどこだろう?⇒犯人は窓から侵入したのかもしれない)

自分はミステリー小説、特に新本格派周辺はそこそこに好き。でも、読みながら考えて推理することはまずなく、事件⇒調査⇒謎解きのプロセスを物語としてただ追ってることがほとんど。
今作は、そんな自分でも推理しながら物語に接することができた画期的なシステムでした。
最初はトリックも犯人もまったく見当が付かない状態から、キーワードを組み合わせることで徐々に謎が見えてくる。ミステリーを読んでてここまで「推理」を経験できたのは初めてかもしれない。

ただ、推理に詰まると片っ端からキーワードを組み合わせる作業ゲーになる可能性もある。
そういう時は迷わず「解決への糸口(ヒント機能)」を使うべき。
使用すると推理ランクは下がるけど上位ランクを取ったからと何か特典があるわけではありません。「ヒント」は「チート」でなくこれもゲームの一部と捉えたほうが楽しくプレイできるでしょう。「答え」でなく「ヒント」なのでまだ推理する楽しさは残ってる。
頑固にならなければ作業ゲーになってハマるという問題もしっかりシステム側で解決してる。
自分は意地になって解決の糸口を使わずにクリアしたのですが、そのおかげで作業ゲーになること多々。
その意味でも推理ランクは特典とかにまったく関係ないってのをしっかり明記した方がシステムを生かせたのではないかな、とも思います。

メニュー表示などスイスイと動くシステムのおかげで操作面が推理の邪魔をすることがなかったのもグッド。
ノベルゲームにおけるシステムの快適さって重要だなと再認識しました。プレイしててすごく気持ちいい!

読書中のBGMはクラシックや環境音を選択できる形式。
うーん、読書の邪魔しないのはいいんだけど暗い曲が多くて選曲するにもイマイチ魅力が……せめてランダムで選曲してくれるシステムがあれば。
最後の方はPSPの音消して違う音楽を聴きながらプレイすることが多かったです。
推理(最後の答え合わせ)のBGMは、推理が進むにつれ盛り上がったりとドキドキして好きなのですが……。

話は、主催・我孫子武丸にはじまり、綾辻行人、有栖川有栖、麻耶雄嵩などのミステリ大御所が参加してるので、もちろん面白い!どれも短編の短い中に、緊迫感やしっかりしたトリックを織りまぜてくるのはさずがプロといったところ。
ドラマチックではなく推理モノとしての面白さがピカイチ。
また、全話を通じて登場する、事件巻き込まれ役の天野つかさ、丸ノ内刑事といったキャラがワイワイと楽しくやってくれるおかげで、雰囲気が重くなりすぎず、話に入りやすいのも良いところ。

対して安楽椅子探偵役の芳川樹の謎に迫る本編はあっさり。
推理する各事件がメインなんで、こっちはサブとも捉えられますが、あれだけ引っ張っておいて終わり方はあっけないかなぁとも。上記のつかさ、丸ノ内を含めキャラが良いだけに残念。

ここから各話の感想〜。出来る限り真相に触れないようにしてますが閲覧は自己責任でお願いします。

練習問題 指さす死体

練習問題だけど十分楽しい。シンプルな分、ある意味一番推理してて気持ちいいかも。DL体験版でプレイできます。

No.1 盗まれたフィギュア

唯一の非殺人事件。まったくわからなかった真相が、ヒラメキを作ることで少しづつ見えてくるってのが実感できた。つかさや丸ノ内刑事のキャラがまだ掴めてないから、落ち着いて周りが見えずに状況把握に手間取った覚えが。

No.2 明かりの消えた部屋で

ストレートなミステリー。シンプルな分、トリックを考えるのが楽しかった〜。

No.3 雪降る女子寮にて

ガサツな先輩・ちえみさんを筆頭に女子寮のキャラが魅力的で、推理部分だけでなくお話として面白かった。SEASON1で一番好きな事件ファイルです。鍋のシーンが妙に印象に残ってる。ボヤけてトリックが見える難易度も丁度良い感じ。

No.4 切断された五つの首

首、手首、足首が切断された惨い殺人のうえ、浮気調査から事件が始まるなど人間の暗部を照らし出されるようで、全体的に空気が重かった。最後の大ネタのため、ゲーム中最高難易度とも言われていますが、確かにあのヒラメキはピンポイントすぎて見つからないよなぁ。話としてはアリだと思うけど、ゲーム的にはちょい難点があったかも。

No.5 亡霊ハムレット

これもピンポイントなヒラメキがあって苦戦した。キグルミを着て豪邸の前に茫然と佇むつかさがかわいい。

No.6 ブラッディ・マリーの謎

部屋割りからトリックを解いていく。一概に犯人当てミステリーと言っても、トリック、時間、部屋、など色々な推理の攻め方があるのが面白い。

No.7 ライフリング・マーダー

初っ端から真相にかなり近づくことができた事件ファイル。こういうトリックの方が早く解けてしまう自分もどうなのかと……。
しかし、あと一歩の謎で大苦戦。一言一句を見なくては。再登場のちえみさんが良い味出してる。つかさ・ちえみコンビが好き〜。

No.8 目の壁の密室

これも割とすんなり解けた。気にすべきポイント、推理のプロセスが見えたのでスイスイ推理できて楽しかったです。数をこなして推理力が上がってきたのか、たまたま自分の思考回路に合ってたのか…。話としては濃いのが多いSEASON2にしては地味?

No.9 Yの標的

全話中最長の話なんで、どこからどう攻めていけばいいのかわからずに苦労した。一度導線が見えると、気になるところを潰していくのが楽しい。今思うと最初の時点でモロだったのか……。初回で考えてたのがつかさの珍回答と同じだった悲しさ。この事件ファイルのつかさはカメラ取られてあわあわしたりと普段以上に可愛かった〜。

No.10 完全無欠のアリバイ

ラストは短くまとめてきた。逆にオーソドックスな推理内容なのが「最後!」って気がして燃えた!何から何まで我孫子武丸らしい話ですね。この人の性格を考えるとすぐに答えが出てきた。


「推理」が楽しめるゲームシステムが素晴らしい!真相が見えない状態から「受動的」でなく「能動的」に推理していく楽しさ。自分の中での推理ゲーム、いやミステリーへの接し方に革命を起こしてくれました。
フリゲで言うなら言ノ葉迷宮さんのゲームをプレイしてるような感覚に似てる。

終盤はキャラへの愛着もすごく高まってた。
本編ストーリーはあっさりですが、推理への強力の仕方などちょっとしたところで樹、つかさ、丸ノ内刑事の信頼が深まっていくのが感じられたのが良かったです。

このゲームシステム、キャラ達をここで終わらせるのはもったいない。是非、次回作を作って欲しいなぁと期待したいところです。

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