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ニュクス
サークル なんかどう
元ネタ オリジナル、ボカロ
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オリジナルのインスト。

ソウサクカン」のダブ、ミニマル、アンビエントの手法と「ねこのかげが森でおどる」の土着音楽要素が合体したコアな一枚。
過去2作のちょうど私好みだった部分が混ざり合っててモロに好みのサウンドです。電子音使いまくりなのにプリミティブな「何か」を感じずにはいられない。
一つ一つの音に深みがあってずぶずぶとハマッていく。
このCDはリズムが良かった。反復しているようで不規則なリズム。ミニマル/ポスト/音響派のロックバンドが叩くドラムっぽい印象を受けました。

そしてこのCDは全面的にミクを使っています。
しかし、歌メロのような使い方はせず、クワイア、民族祝詞風の使い方。
普段ミクはボーカロイドがゆえどうしても楽曲から浮いてしまうところがあって、そこがミクの良い所でも悪い所でもあるのですが、このCDでは完全にミクが楽曲へと溶け込んでる。
ラストトラックまでミクと気づかない人もいるんじゃないだろうかと思わせてくれるほどです。

@オリエンタルな弦楽器に合わせて大人っぽいコーラスが響き渡る神々しい一曲。初っ端にして虜。
A奇妙な反復フレーズに酔う。一定で刻み続けるハイハットを聴いてると意識が飛びそうになるミュージックドラッグ。オドロオドロしいコーラスにドキッとさせられます。途中の急に明るくなるパートが逆に怖く感じる。
Cのっそのっそと何かが歩いてるようなリズムが癖になる。重なり、反響していくシンセが好き。
D生ドラムをフューチャーした11分の長編ダブ・トラック。ジャズと民族パーカッションを行き来するようなドラムはTortoiseを思わせる。打ち込みでは表現できないグルーヴと不安定さがあって素晴らしいプレイです。今作で一番好きな曲。このまま40分ぐらい続けてくれても浸れるわ〜。
Eどこか可愛らしさを感じるラストトラック。最後にミクがひょこっと出てきて1分だけ歌う。歌詞を歌うのはCDを通してここが初めて。いままでの音楽で完全別世界に飛んでいたところからパンッと現実に戻されたような感覚がある。夢から覚めた瞬間の妙に心臓が落ち着かない状態を思い起こします。上手い演出だ。

30分間の夢の中へと誘ってくれる傑作。浸れる。
今までの作品であと一歩煮え切らなかったところから完全に脱皮した。こういう浸れる系としては同人CDの中でもピカイチにお気に入りです。
アンビエント、ミニマルあたりの酔える音楽、土着的な本能に訴えかける音楽を求めている人は是非。
やってることのわりには、案外聴きやすいので興味があったら手にとって見るのも一興かと。

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